青空、ハレの日☆奇跡の条件(加筆修正中)
 目を見開く空兎。

 開いた手に残る仙太の暖かみは、遠く離れていく………

「……………」

 言葉が出なかった。

 仙太の体が木に隠れて見えなくなっても、その光景が信じられなくて、ただただ空兎は、呆然としてしまった。

「やべっ!くそっ!一時撤退だぜ!」

 たて続けに何かを撃ち込まれ、動けないと判断したクヲンが飛翔する。

 仙太が隠れていった木がどんどん小さくなっていくのを空兎は、呆然と見つめていた。

 ドラマやアニメで似たようなシーンで名前を叫ぶシチュエーションが不意に過ったが、叫ぶ気が全然起きなかった。

 叫んだら、なんだか自分が視聴者じゃなくて、そのドラマやアニメの登場人物になりそうで……嫌だったから。

 だから、空兎は叫ばなかった。


 空兎は、見えなくなるまで木を見続けた。


 自然と溢れ出た涙が視界を覆うまで………



  【NO.7 争奪戦勃発! 完】


< 265 / 500 >

この作品をシェア

pagetop