青空、ハレの日☆奇跡の条件(加筆修正中)
§


セレビアの空飛ぶ箒に送られて蒼咲総合病院に戻ったジョーは、紗恵美から説教を受けていた。

「もう、勝手に病院外に出ちゃダメですよ! 今朝はそれで昨日よりも重症になって帰ってきたんですからね!」

「す、すみません。以後、自重します」

 ペコペコと素直に頭を下げるジョーに、紗恵美はすぐにその釣り上げた眉を下ろして、手が掛かるけど憎めない人を扱うような呆れた笑みになる。

「まぁ、それでもお元気そうなので良いんですけどね。医者要らずな頑丈さで感服しますよ」

「それだけが取り柄ですから」

 ジョーの照れ笑いで、その場は終わりとなった。

 一人になった病室のベッドで、ジョーは備え付きの棚の引き出しから、いつものヒーローお面を取り出して、それをしばらく見つめた。

「“奇跡を起こせる宝”……かぁ。もし、本当にあるのなら・・・・・・」

 何かを想い、静かに目を閉じる。


 ポトリ。


 お面に一雫が落ちた。


§


 地上からは点くらいにしか見えないほど、高く空に舞い上がり、箒を滞空させているセレビアは下界ではなく、遠くに見える地平線を見つめていた。

(“鍵”は絶対に見つける。・・・・・・そして“宝”は・・・・・・)

 目映い太陽の光を遮るように、目を閉じて、強く心の中で叫ぶ。

(誰にも渡さないっ!)

 カッと目を見開き、自分より高く昇っている太陽を睨む。まるでセレビアを戒めるかのように照りつける太陽に、セレビアは、しばし目を逸らさなかった。
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