− 夏色模様 −




いっくんはこうやって、あたしを守ってくれる。

こういうとこ、本人には内緒だけど…… 好き。


「あのね、ちょっと……」


揺れる車内。 上手にバランスを取って、背伸びする。


今からやることは、優ちゃんたちには絶対“内緒”

もちろん、読者のみんなも他の人に言っちゃダメだよ。

恥ずかしくて、絶対に言えない。


「ん、どうした?」


大声で話すことが出来ないから、いっくんの耳元に近づく。


いっくんもあたしの声が聞きやすいように、ヒザを曲げた。

…… だから、ちょうどいい高さ。


助けてくれて、ありがとう。

これからも、よろしくね。

たくさんの思いを込めて、いっくんに顔を近づけた。


「いつも、ありがとう」


“――― ちゅっ”と、小さな音が聞こえた。


「――― ッッ」


いっくんの頬に軽くキスをした。


これは、二人だけの、夏の秘密―――。





-- fin.


Mao's Summer finish.

Next story is Special story.




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