− 夏色模様 −




4日か……。

たしか、去年の夏合宿も4日だった。


あの4日間は、あたしにとっとも……。 桐谷にとっても、大切な思い出―――。



「どうする、愛川? お前も行くか?」


桐谷と過ごした、旅館。

桐谷と出歩いた、街。

桐谷と―――。


数えきれないほどある、あの思い出の地。



「俺は顧問から頼まれたから行くっきゃねーけど……。 愛川は、行きたいか? 行くなら、連絡しとくけど……」


そんな、答えなんて決まっている―――。


「行くーーー!」


桐谷の顔が綻ぶ。


また、桐谷とあの場所に行きたいって思っていた。

だから―――。


「今年も楽しみだね」


「あぁ」


また、キラキラの夏合宿が始まろうとしている―――。




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