− 夏色模様 −




かわいいなー。 そんな量が無いゴミ袋を両手で持っている姿とか。

後ろを歩く前田先輩を少し見上げている姿とか……。


本当に年上かと疑ってしまう。



「はーいっ、みんなー聞いてー」


一番前で、愛川先輩がマイクを持って、話しはじめた。


その声に反応して、歩いていた前田先輩と木下先輩が立ち止まった。

それも、俺の隣!


チラリ、木下先輩を見上げる。


大きい瞳、小さな赤い唇。

木下先輩が俺の隣に……。 やっべー、チョー幸せ。



「いっくん」


「ん、どーした?」


「海って見えるかな?」


一番前では、相変わらず愛川先輩が日程の説明をやっているにも関わらず…… 木下先輩と前田先輩は、聞く耳を持たない。

好き勝手やりはじめた。


もちろん、木下先輩に気がある俺は愛川先輩の話しより木下先輩の方に耳が行く。




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