− 夏色模様 −

2日目⇒ アクション。





「ちょい、捺稀。 俺、忘れもんしてきたから、旅館に戻るわ」


「おーうっ。 先輩たちに言っていけよー」


「りょーかーいっ」


悪いな、捺稀。 忘れ物なんて…… 本当はしてない。

ただ…… 今、どうしても確かめたいことがあるんだ。


夏空の下。 俺は旅館に向かって走り出した。

今、旅館では木下先輩が一人でタオルを干している。 …… だから、接触するのは今しかない。




「あっ、木下先輩!」


「――― ??」


不思議そうな顔して俺を見つめてくる。

そりゃ、そうだよよな。 俺のことなんて、知らなくて当然。


ふと、木下先輩の手元に視線が移った。 両手には重そうな洗濯カゴを抱えて持っていたから、ついそれに手が伸びた。


「カゴ、持っていきます」


どうやら洗濯も終わりだったのか、俺が大きいカゴを持ち、木下先輩は小さなカゴを持つ。

隣に並びあって、二人で庭を目指す。




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