夜獣3-Sleeping Land-
「それがな、物凄く凶暴な奴らしいねん」

「それで?」

「山女さんの話では、宇宙でも指名手配されるほどの奴。星一つを潰しとる」

「お前の近くにいる女はその化け物を倒せるほどの力を備えているらしいな。僕には関係のない話だ」

倒せるという保証付きの相手には興味はない。

「兄さん、戦いたいんやろ?ものすごい経験値つめると思うけどな」

「闘う相手は僕が決める。お前はお前で勝手にすればいい」

「そんな寂しい事言わんといてや。ええやん、ちょっとくらい手貸してくれてもさ」

「知るか」

「だから言っただろ、こんな奴は必要ないんだ」

傍に立っていたのはスーツを着た男だ。

目つきは鋭く、ギラついている。

「人員は少しでも多いほうがええんや」

「私は山女に賛成だ。自分達で出来る事は、自分達でするべきだ」

「んー、頭が難すぎるねん。今や協力プレイは当たり前の世の中や。一人やと経験値は多い。二人やと分散してしまう。でも、二人の方が仕事が早く済む。分かるやろ。分担作業って奴や」

「こちらには私とお前と怜がいる」

「三人だけでは無用心って奴や。それに、過去の因縁は過去の人らの個人的感情でしかないねん。俺は渚さんを見てきた。渚さんは今を生きとる。俺等も過去に縛られてる場合やあらへん」

「怜が黙ってるとは思えないけどな」

「怜がいう事きかへんのやったら、この件からは外す」

「本気か?」

「俺の眼、どう見える?」

男は黙った。

「ああ、兄さん、すまんな。で、協力せえへんか?」

「興味はない」

コーヒーを飲まないまま僕は席を立ち、店から出る。
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