くるきら万華鏡
 もういいです、それ以上聞きたくないです。


「そしたら皆人くん、『ああ、奈緒ちゃん!? よろしく』って言って笑ったの。あの気持ちの切り替えの早さ、どっかにスイッチ隠し持ってて、操作してるみたいでさ、私も思わず笑っちゃった。」


 食べかけの弁当に蓋をして封印。


「もういいよ、聞きたくない。」


 弁当箱を入れた巾着袋の紐を、両手でキュッと引っ張りその口を締めながら、伏せ目がちに言った。


 何も言わずに席を立った私に、慌てて奈緒が、


「多恵! こんなことで友達やめるなんて言わないよね!?」


 不安そうに私を見上げる。



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