4人の嵐





『一番大事な人、忘れてるよ』








その声は、私が嵐達を見送って自室のドアを開けた時、背後から聞こえた。


「永樹…さん…」


帰ったんじゃなかったのか…!


『罰ゲーム、して欲しいの?』

「意味分かんない…っ!」


永樹さんは私を部屋に押し込んで、扉を閉めた。


『俺我慢してたんだよ?那子に触りた過ぎて気が可笑しくなりそうだった』

「…な!!」


永樹さんは素早く私を壁に押し付け、瞼にキスを落とす。


『真っ赤…。喜んでるんだ』

「やめ……っ」

『止めないよ』


鼻、耳、頬、首。

唇で触れられるそこは、熱を帯び、全身に伝わる。


そして、それは私の唇の前で止まる。


『"キスして"って言って』

「……!」

何で私が!
止めないって言ったのだって、先にやりだしたのだって、どっちも永樹さんなのに。



そう思うのに、触れない距離が焦れったくて。
息がかかる程近いのに。

『言わないの?』

「………もう…っ」


本当に、嫌だ…!
変態!馬鹿!馬鹿馬鹿馬鹿!!!

私を、その気にさせるのが上手い。

いっつも永樹さんの思い通りで。

でも、

「キス…して…」

『可愛いすぎて止まんなくなる予定だかんね』

「ん…っ」


それは、私の思い通りでもあるのかも…。


って、順調に永樹さんの変態に侵食されっていってる気が……。


『大好き』


性質はゆるくて変態。
私の……


「…っ私も……」



大好きな人。






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