年上の男


失恋かぁ。

そうだよね。

私なんて、最初から相手にしてもらえるはずもない。

こんなにカッコいい人だもん。

大人だし。


車は私の家の少し前で止まった。

「藤崎さん、携帯持ってる?」

矢崎さんの言葉に驚く。

「あ、はい」

「貸してもらえる?」

「・・・どうぞ」

わけもわからないまま、矢崎さんに携帯を渡す。

カチカチ音がしてるけど、涙と熱で何をしてるか良くわからない。


「はい」

携帯を返された時

「俺の番号とアドレス入れておいたから、元気になったらどこか遊びに行こう」

え?

慌てて携帯を見て、番号が入っているのを確認してから矢崎さんを見る。

「今日の仕切りなおしね。どこがいいか考えておいて」

優しく微笑んでくれる矢崎さんに

「いいんですか?・・・本当にいいんですか?」

「ああ・・・だからとにかく病気を治しなさい」

頭をくしゃってされて。

「・・・はい!」

さっきの涙なんてどこへやら。


お礼を言って、車を降りると、私が家の中に入るまで見ててくれた。

玄関のドアを閉めると、外で車の走り去る音がした。

・・・もう、めちゃくちゃはまっちゃうよ。


「あれ?早かったね」

リビングにいたお母さん。

熱を測ると38.5度・・・こりゃ、ダメだわ。

「あらっ・・・大変」

お母さんがドタバタ準備してくれるのがわかったから、部屋に入って着替えてベッドに横になった。


そしていつの間にか眠っていた。







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