強毅代理人アゲハ
4月27日

12時40分

「ぐっ…ご、ごめっ…もうやめ…」

蹴る。蹴る。蹴る。

校舎裏、1人の金髪少年が額、鼻、口から出血して顔を赤く染めながら地面に這い蹲っていた。
顔を守るように身体を丸くしてるが、横腹を蹴られて痛みで仰向けにさせられ更に顔を蹴られる。
校舎に少年の血液が飛沫となって飛び散り模様を描く。

すると、その場にいたもう1人の顔面出血金髪少年が蹴りを放つ足にしがみついた。

「天城さん、もう良い、もう良いからっ!」

少年を蹴っていた足が止まり、地面に置かれる。

「んだよ…オレはまだ満足してねぇぞ…ユナイ、お前そんなに殴られたくせに…」
天城と呼ばれた蹴り主がユナイに顔を向けると、真っ黒な長いポニーテールが靡く。

「これ以上やったら死んじゃうよ!」

ユナイは首をフルフルっと振り、立ち上がって天城を見上げる。
彼と彼女の身長差は50センチ近い。

「だからってお前…今のうちにボッコボコにしとかないと、ぜってぇやり返されるぞ…?」
天城が屈んで、ユナイと顔の高さを合わせる。

「でも、暴力でし返しちゃダメだよ…?」

「お前…んなんだから苛められんだよ…」

「ダメなものはダメだもん」
ユナイは天城に向かってにっこりとほほ笑む。

「バーカ…」
天城はユナイの頬をペンッと指で弾く。

瞬間、彼は頬を抑えてうずくまる。
「痛っ…いったぁ…」

「そんな風にされといて何言ってんだ…」
天城は体制を直すと倒れている不良少年に近付いて、彼の胸倉を掴み無理やり立たせる。身長が190近い彼女が少年を簡単に両手で浮かせた。

「テメェ、今度ユナイに手出したら殺すからな…!文句があったら天城揚羽のとに堂々と着やがれっ!」

「は…はぃっっ」

返事を聞くと、揚羽は少年を校舎の壁に放り投げた。

「じゃぁ、飯行こうぜ?」
再度、ユナイのとこに戻ると、彼の頭にポンっと手を置く。

「でも授業始まっちゃうよ?」

「んなもんサボりだ、サボり。第一、そんな顔で教室戻れねぇだろ…屋上行こうぜ?」
揚羽は、ユナイの腕を掴むと引っ張って校舎に戻って行く。

壁にもたれている少年は携帯電話をポケットから取り出した。
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