恋を、拳と共に
五章 春、遠からじ

康太 11



とうとう言ってしまった。

好きだ、って、藤沢に、告白してしまった。

何かもっとちゃんとしてる時に言うべきだったかもしれないのに。
こんな、右手に包帯巻いてて、寒くて鼻の穴から白い息が出ちゃってるような時に。


でも、言ってしまった。
後戻りはできない。

なのに。

「め、迷惑……だったら、ごめんっ」

情けない声で、気弱に謝ることしかできない俺がいた。


あー、もう、ダメだ……。
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