恋を、拳と共に

そして、運動会一週間前の、放課後のこと。


「えー! ……学ラン、自分で調達するんですか!?」

「そうだよ~。誰かクラスの男子にでも借りてきて」

てっきりどこかから誰かが持ってきてくれるんじゃないかと思っていた。
応援団の定番ともいえる、学ランに白手袋、長いハチマキ。

その学ランは、各自で調達してくることになっていたのだ。
失敗したー。もっと早く先輩に聞いていたらよかった。


さてどうしよう……。
うちの学校の男子の制服はブレザーにネクタイだし、私は兄弟もいないし。
一番の問題は、本番までに時間がない……!


――そうだ、秦野くん。


すごくいいことを思いついた。
秦野くんに、学ラン貸してくれそうな男子の心当たりを聞いてみたらいいじゃん!

私はすごく久しぶりに、秦野くん宛てにメールを送ったのだった。

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