ノイズ
可奈の脳裏に一瞬、どこか知らない場所で倒れている沙織の映像が浮かんだ。


ううん、そんなはずない。



可奈は見えた映像を振り払うように頭を振った。


「とにかくもう遅い。家まで送るから車に乗ってくれ」



立花の車に乗り込むと、可奈と文也は後部座席に座った。


車内は思ったより暑く、息苦しい感じさえした。


エアコンの冷気が車内を満たすまで、立花に頼んで窓を開けて貰う。


涼しい海風が車内に入ってくる。


可奈は振り返って、車窓から横断歩道をじっと眺めた。


沙織のことが心配で堪らなかったが、今は無事を祈るしかない。


車は佐々木の住むマンションを迂回してから、国道に真っ直ぐ向かった。


宵闇の中を車は走り続けた。


それぞれの思いを乗せて……


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