an alley cat
「・・・え?」




―どういう事?


「っ・・・華夜ちゃん?安奈ちゃん?」


何度呼んでも、いない。


「とう、まくん・・・龍斗くん・・・?」


隠れているわけでもなさそう。



私は暗く続いている道に、ただ、ただ何もせず突っ立っていた。


まだ肌寒い季節に。


ただ1人、深い森に迷い込んだ子供の様。





その時、私だけが捨てられた時の光景が、目の前いっぱいに広がっていた。




―暗い


―恐い


―怖い





―誰か!












「くーろーだっ」



―静かな道に響いた君の声。



「悪い悪いっ!」


そう言って目を細めて笑う。


「どうした?」


私の顔を、そっと覗き込む君。


「・・・泣い、てんのか?」


そう言って、私の顔を心配そうに見つめたのは・・・、




「冬真く・・・」





「・・・ごめん!本当悪かった!な、泣くなって!」


冬真くんは慌てて自分のポケットを探り、ハンカチを探している。


「って・・・ねぇやハンカチ」

そう言ってガクリと項垂れた。


「大丈夫・・・か?歩けるか?」


心配そうに私を見る冬真くんの目が、とても温かかった。


「・・うん、大丈夫」

「よっしゃ」


そして再び歩き出す。







「黒田って・・・あ、変な事聞くけどいい?」

「・・・?うん」

「付き合ってる奴とかいんの?・・・ほら、前の学校の奴とか?」

「へっ?」

思わぬ質問に戸惑う。


「やっぱ、無し!なんでもねぇ」

そう言って顔を背けた冬真くんを見、



「いないよ」






と呟いた。









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