君に届ける最後の手紙
「由ちゃん……それは……ねぇ?……出来ないでしょ……」


何やら俯いた様子でアサミが言う。


「何で?」


と返す俺に、今度は笑顔で答えた。


「もうっ……由ちゃんは。彼女が出来たんだから、そうそう簡単には会えないでしょ?」


「?……アイだって俺とアサミの事は疑ってないって……」


さっき言ってた。それに、それは本当の事だ。やましい事がない限り、遊んだり泊まったりするのなんて……


「キミは本当に鈍感だねぇ……疑ってはないかもしれない。でも、心のどこかじゃ嫌なハズだよ。口ばっかりの強がりってやつ」


そんなもんなのか。


「そっ……か……」


「も少し女の子の気持ちを勉強したまえよっ!鈍感クンッ!」


「あぁ……」


なんか寂しい。


いつも……嫌でも近くにいたアサミにサヨナラを言われた。


別に本当のサヨナラじゃないって事は解ってる。


"暫くは"って意味だろ?


解ってるよ……でも……


何だよ……。


「由ちゃん、今度会う時は"偶然"だね!じゃ……またね!」


……だよな……アサミが理由で別れた……なんて事になって欲しくない。


そうだろ?


「おぅ……"また"な……」


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