君に届ける最後の手紙
「わり!言い過ぎたか?」


『…………違う』


「じゃ何だよ?」


『あ、由ちゃんだぁ……って思って……』


意味がわからん。


「なんだよソレ」


『アタシ、ずっと我慢してた。あの後、すごく後悔した』


我慢……その言葉には多少共感できる。俺も同じだった。


『由ちゃん……今日会わない?』


「あぁ、いいけど……どこで?」


『アラ、決まってるでしょ?アサミちゃんち』


「アサミちゃんちって……」


遠いし、交通機関がない。


「今度にすっぺ。チャリで行ける距離じゃねーし」


『なんで?チャリで来ればいいじゃん』


「…………」
『…………なに?』


いや、なに?じゃない。コイツは自分で何を言ってるか解っているんだろうか?


チャリで行ったらかなりかかる。数十分じゃない。一時間はかかる。


Minuteではない。Hourなのだ。


『……来るよねぇ?』


「……うん」


俺まで一体何を言ってるんだ?何故OKした?


それは昔から決まっている事。結局彼女には勝てないのだ。


何はともあれ、俺はアサミの家に行くことになった。


今の時間は……19:20……無事に辿り着けるか?


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