君に届ける最後の手紙
二階に上がり、一人で勉強しようとしてはみたが、さっきの言葉が引っ掛かる。


「アサミが……俺に……」


今まで考えた事もなかった。正直動揺している。


「上がったよぉ。お風呂どうもね」


「お、おう……」


ヤバイ。動揺し過ぎだ。初めて見る風呂上がりのアサミが妙な感じに……


「由ちゃん、どうなの?アサミさんとの関係は。進んでる?」


アサミさん……そうだった。


俺には一年の時から憧れている人がいる。こっちのアサミとは正反対の可憐で華のある、女の子らしい女の子だ。


「どうもこうも……未だに憧れの人だな。向こうから話し掛けてもらえなきゃ、なかなか話しもできねー」


「はぁ、まぁだそんな感じかぁ。席はとなりなのにねぇ」


「ほっとけ。じゃ、そろそろ寝るか。お前は下で母さんと一緒に寝ろよ」


「あ〜い。んじゃおやすみぃ」


アサミが下に向かったのもつかの間、再び上に上がって来た。


「なんかね、下に布団ないから上で寝なさいって」


「は?こっちの部屋だって布団なんか……」


ある。謀られた、これは完全なる謀略だ。


しかし、年頃の男女を同じ部屋に寝かせるなんて……信じられない。


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