君に届ける最後の手紙
そこから小一時間程、桜と屋台を堪能したあと家路に着いた。


「んじゃ、アタシとゲンキ君こっちだから。おばさん、由ちゃん、ばいびっ!」


「あいよ」
「は〜い!またね!」


アサミは一時の仏頂面が嘘の様に、笑顔で去って行った。


「母さん、さっきの何なの?」


「何なのって……アンタまだわかんないの?!ほんっと鈍感ねぇ……」


「解んないから聞いてんじゃん」


「この青二才がっ!……説明する価値なし!」


「……つーか酔っ払って覚えてないんだろ……」


「………………てへっ!」


「てへっ!じゃねーし…35にもなって年甲斐なしに」


「ゴルァッ!まだ34だよ!失礼な……あ、怒ったついでに思い出した!……あのねぇ、女の子の気持ちは繊細なのよ」


「繊細って、アサミが?」


「あら、あの子周りが思ってる以上に繊細よ?……由の事、友達だ!って、ちゃんと割り切ってても、どっかで気になっちゃうもんなのよ」


「ん〜……さっぱり意味がわかんねぇ」


「あ、こりゃダメだわ……父さんに似たのね。可哀相に……」


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