Iの漂流戦士
時々、涙





【私立北徳春高校 駐車場】





1日の授業を終えた正義は倉木の帰りを駐車場で待っていた

日は沈み、辺りがすっかり暗くなった頃………



『-----------------------星野!!』


暫くしてジャージ姿の倉木が現れた



『すいません、練習で疲れてるのに呼び出しちゃって…』


倉木は先ほどまでグラウンドで合同練習の顧問をしていた



『疲れてんのは俺じゃなくて生徒達だよ。俺はただ突っ立ってるだけ』


そんな倉木らしい皮肉に正義は思わずクスリと笑った

倉木はその後、自分の車にエンジンをかけて運転席のドアを開ける



『俺ん家に来るか?どうせ外で出来る話じゃねーだろ?』


正義が待っている時点で、話す内容は決まっている

正義はコクリと頷き、自分の車に乗り込んだ



倉木が走る車を追う事30分。あるマンションの前で車は停車した



『隣が空いてるからそこに停めていいよ』


倉木の隣の部屋は空室で、駐車場も空いていた

無事車を停めた正義は改めてマンションを見上げた


(ここが倉木さん家……)


倉木とは長い付き合いだけど、家に招待されたのはこれが初めてだった

マンションは10階建てで、家賃も高そうな雰囲気



中に案内されてエレベーターに乗ると倉木は7階のボタンを押した




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