Iの漂流戦士






『いつまでこんな生活続ける気だよ。仕事もしないで女に金貰って、恥ずかしくねーのかよ?』


修の怒りは収まらない

久しぶりに会ったからこそ、言いたい事が山のようにあった


父親はそんな修に見向きもせず、タバコをフーッと吹かしてみせた



『それの何が悪いんだよ?そのおかげでてめぇは高校に行けてんじゃねーか』



------------------ドクンっ。

修の中で何かが弾ける音がした



『は?あれは母さんが俺の為に貯金してた金だろ。俺の将来の為にって、寝る間を惜しんで働いてた…………』


『あ?そんな金あいつが死んで一ヶ月もしない内になくなったよ。パチンコでな』



-------------ドクン、ドクン、ドクン。


修の中で怒りを越えた感情が溢れ出ようとしていた



『お前の入学金は風俗の女に貰ったんだよ。あんな金、俺が少し優しくすればすぐ……』



--------------バコッ!!

その瞬間、鈍い音が部屋に響いた


修は生まれて初めて人の顔を殴った

それも血の繋がった父親に向けて



『ふざけんなよ。……なんでそんな事平然と言えるんだよ?お前も女達も頭おかしいよ』


怒りで修の体は震えていた

なにより一番悲しいのは、死ぬまで愛されなかった母の事





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