Iの漂流戦士







『……僕、ちゃんと死ねたんですかね?』


もしかしたら今頃肉体は病院のベッドの上で、魂だけが動けずにいるのかも




『お前は死んでるよ。間違いなく』


そんな少年の言葉に何故か涙が出た。これが嬉し涙なのかは分からない




『なぁ、お前名前は?』


それなのに自分はなんでまだこの世界に居るんだろうか?




『………一馬です』


これじゃ、ただ死んだだけで自分は自分のままじゃないか



『俺は枝波修。お前と同じ死んだ人間だ』


修は握手を求めたけど、一馬は応えようとしなかった

それを見た修が一言問いかける




『一つ聞いていい?なんで遺書に何も書かなかったんだ?』


遺書。きっとあの紙に何かを書けばそうなったのかもしれない



どうして修がその事を知っているのかは分からないが、こんな風に霊体が存在するんだからあり得ない事はない





『…………臆病者ですから。僕は』


結局、理不尽な事に勝てずその現実から逃げた


『臆病者?』


『…………はい。ただの臆病者で、ただの弱虫ですよ』


すると修は意外な言葉を言った


『ふーん。じゃぁ、お前は臆病者で弱虫で優しい奴なんだな』



優しい?何を根拠に言っているのだろう

何も言わない一馬に修はニコリと笑った



『いいじゃん。俺がそう決めたんだから』




そして後に一馬は世界を変える為、修と殺人鬼になる事を選んだ


これが一馬の歩んだ14年間の人生


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