そして優しい嘘を言葉に
「おまえは、もうそろそろ戻った方がいいぞ? 伊藤と佐伯がハラハラしてると思うから」

涼は私の手を離すと、多分、真っ赤になっている私を見て、クスクスと笑いながらそう言った。



「俺はちょっと時間を空けてから行くよ」

私の背中を校舎の方へ軽く押し、そう言って軽く手を振る涼。



「うん……じゃあ、行くね」

私がそう言うと、涼が笑顔で頷いたので、私は校舎の方へ小走りで戻った。



短い時間の中で、いろいろあったけど……。



私、忘れない。

章弘先輩の気持ち。

涼の気持ち。



ありがとう。


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