そして優しい嘘を言葉に

~3月13日・理由~

高田さんに送ってもらって、登先輩と隆志先輩と一緒に別荘に戻った。

事前に高田さんが大村さんへ連絡していたみたいで、着くとすぐにお医者さんが来てくれて、今は部屋で登先輩の診察をしている。

高田さんは他の人達がまだスキー場に居るから、すぐに戻ってしまった。



「美雪。気にするなよ?」

部屋の外で診察が終わるのを待っていると、一緒に待っていた隆志先輩がそう言った。



「でも……もし、大きなケガだったら」

「そうだったら、もっと痛がったり何か症状が出ているだろ? 単なる打撲だと思うけどなぁ」



隆志先輩は、そう言った後、部屋の方を見て苦笑いをした。



「あいつさ……子供の頃、今回みたいな感じで、逆の立場だった事があるんだよ」

「えっ?」



私が訊き返すと、隆志先輩は私の方を見た。

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