「あなたのライバル派遣します!」


 機械が雑然と並べられた狭い一室の中で、その狭い壁一面を埋め尽くす大型モニターの前に座って轟は満足げな笑顔を浮かべていた。

「どうやら、少しですが結果が出てきたみたいっすね」

 冠がコーヒーカップを手に機械の一つにもたれかかるようにしながら轟に話しかけた。

隣では、いつものことなのか英が大きな鼾をかきながら寝ているのを気にもしないで、轟はかけていたメガネを外すと振り返った。

「そうだな。では、次の段階へと移行するか」

「そうっすね。そういえば、今回のプロジェクトの期間はどのくらいでしたっけ?」

「とりあえず春までだ。後八ヶ月で、顧客の満足が得られる結果を得なくてはいけない。だから、今の小さな結果に単純に喜ぶわけにはいかんな」

「まあ、そうっすね。でも、今回は結構ちょろそうっすね」

 冠の言葉に、轟は眉間に皺を寄せる。

「油断は禁物だ。何が起こるかわからないからな」

「了解っす」

 軽く肩を竦めながら冠は大型カプセルの横まで移動していった。

轟は、無言のまま横で眠りこけている小太りの小男の頭を容赦なく叩くと、目の前のコンピューターに視線を落とした。

 その叩かれた英はというと、特に痛がるわけでもなく大きな伸びをしてからおもむろに引き出しからチョコバーを取り出すと、それを食べながら嬉しそうな表情を浮かべてパチパチと複雑に並んだボタンを軽快に叩き出した。
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