哀・らぶ・優
その次の日、言い訳の電話を待ったけれど連絡は来なかった。
その次の日も、次の次の日も待ってみたけれど無意味だった。
決定的な一言を聞いたわけではないけれど、それがあいつの答えなのだと思う。
私から掛けるなんて馬鹿馬鹿しいからしてやらなかった。
優先順位や付き合ってる期間を考えても間違いなく、本命はあの馬鹿女の方だ。
つまり私が浮気相手。
第一、浮気相手を連れて本命の家の近くを歩くだろうか。
あいつは馬鹿だけど、そんな阿呆なことはしない。



『美里の知的な感じ好きだよ。他の女みたいにギャーギャー騒ぎ立てなくて。
クールな女って感じだし。』
付き合いたての頃のあいつの言葉を思い出す。
あの言葉も嘘だったのだろう。
現に、隣にいたあの女は知的な感じとは程遠い。
そんな女が本命だなんて、私のそんなに高くもないプライドでさえ、ぼろぼろだ。
私は本当は少しもクールじゃなくて、あいつと付き合う前の私だったら泣き叫んでいただろう。
だけど3か月の間あいつが好きだと言ったクールな女になりきっていたせいか、涙は少しも零れなかった。
一人の時くらい素になればいいのに、泣き方すら思い出せない。
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