遙か彼方


私は顔を覆って泣きながらお父さんの話を聞くことしか出来なかった。


「昨日彼の瞳の色が変化していたのは知ってるか?…夜、彼と一緒に抜け出しただろ?彼の靴も美桜の靴と同じように泥だらけだった」


私は黙って頷いた。

瞳がおかしいかったのは知ってる。


「アレな?発病のサインなんだ」


発病…。

ハルカの病気の…、発病…。


「慌てて帰らせた。だけど間に合ったかは分からない。間に合ったとしても地球には二度と来れないだろう」

「まだ大丈夫って言ったよね!?」

「…あぁ。大丈夫だと思っていたんだ」

「だから早めに帰った方がいいって言ったのに!」

「…あぁ。すまなかった」

「謝って済む問題じゃない!」


人の命なんだから!

知らなかったからごめんなさいなんて通用しない!


「お父さんの馬鹿!」

「すまない…」

「葵も馬鹿!」

「……」



馬鹿!馬鹿!


もう二度と会えないなんて…。

嘘でしょ…?


葵…。

私あなたとの約束の為にこれから生きようって思えたのに。

あなたは、もういないの…?




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