遙か彼方


だからお父さんも寝坊するんだよ。


でもそんなことは珍しくない。

逆に佐山さんがいない日の方が珍しくて何だか変な感じがする。



佐山さんはソファーにだらーっとうつかって、顔だけを私に向けている。


「佐山さんは?急がなくていいの?」

「うん。まだ平気」

「そっ」

「“そっ”って冷たいわねぇ」


お母さんが戻ってきたと思ったら私たちの会話に自然に加わってきた。

その手には何も持っていないから、どうやら無事にお父さんにお弁当を渡せた様子。


「ですよねぇ。でも美桜ちゃんはツンデレなところが可愛いんだけどねぇ」

「なっ───…」

「あら?佐山くんそうなの?え?2人って実はそうなの?」


お母さんは楽しそうに佐山さんの隣に座った。

呆然と立ち尽くすのは私。


「違うよ…。佐山さんは私のこと妹みたいだって言ってたから」

「え?美桜ちゃん佐山くんに告白したの?」


……何でそうなるの。




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