遙か彼方



2時になる少し前に寮に戻ると、食堂にはすでに佐山さんが来ていた。


「あ、おかえり」

「すいません。待たせちゃって」

「今来たところだから大丈夫だよ。て言うか俺より美桜ちゃんは本当に大丈夫?」

「え?」

「お父さんと会って」

「…大丈夫です」


大丈夫。

そう言い聞かせていないと決心が揺らぎそう。

だから私は何度聞かれたってそう答えるしかない。

大丈夫、と。



「分かった。行こう」

「はい」






< 91 / 204 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop