ひねくれ者と落ちこぼれ天使
記憶と涙
「望くん、手を、自分の胸に当てて下さい」
「え…?」
セイラが突然、そんなことを言い出した。
俺は不思議に思ってセイラを見つめたが、セイラはただ微笑むだけだった。
「………」
俺はよくわからないまま、手を胸に当てた。
「じゃあ…目を、ゆっくり閉じて下さい」
「………」
俺は、セイラの言うことに黙って従うことにした。
何もわからない。
でも
何かが、見えてきそうな気がして。