フェンス

溜め息をつきそっと横を見ると真奈が寝息をたててすやすやと眠っていた。

『真奈…』

涼は汚れた手をズボンでふくとそっと真奈の髪をなでた。

スゥー…

真奈がゆっくり目を覚ます。

『キャッ!!』

近すぎる涼の顔に思わず飛び起きた。

『あなた…誰!?』

どうやら記憶が消えてるらしい。

『俺は…涼…。よろしくね。』

『えっ…あぁ…うん。』

春斗はそんな2人を見て微笑む。

『いい感じのとこ悪いんだけど…涼…病院行かないと死んじまうぞ。』

春斗の言葉に涼も思わず苦笑する。

『そうだな…』

涼は春斗の肩に捕まりゆっくり歩き始めた。


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