オバケの駐在所
「名前は?」

コーヒーを差し出しながら
30後半のおじさんが
聞いてくる。
なんとも親しみやすい事だ。

ん〜いい香り。

私はとっておきの笑顔で
「みゆきです。」
と、返す。

おじさんは
ちらりと私の顔を見てから
入り口の方へ行き、
引き戸の窓から
また外を見た。

なんだよ……、
会話終わりかい。
切ないじゃんか……。

湯気だったコーヒーを
ふくれた口に運んだ
その時だった。
< 4 / 566 >

この作品をシェア

pagetop