夕暮れ色の君

訪れた過ち



…その日は、前触れもなくやってきた。



当番だったあたしは、担任から書類の整理を頼まれて、帰るのがいつもより30分も遅れてしまった。


急いで、いつもの場所に向かう。



「蒼、遅れてごめ…あれ、いない?」



蒼は、まだ来ていなかった。



ほっ、と胸を撫で下ろして木陰に身を預ける。


自分が待つのは平気だけれど、人を待たせるのは苦手だからだ。



木陰に座って、いつものように本を読んでいたけれど、次第に眠気が襲ってきた。



…そう言えば、ずっとテスト期間で深夜まで勉強していた為に、満足に眠れなかったことを、思い出す。



少しの間なら、眠っていいかな…?


そう思いあたしは、ゆっくりと瞳を閉じた。


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