本当の恋に 気づいた日

背中をさする手が一瞬止まり、そして佐藤は言い切った。



「兄貴の好きなヤツが、兄貴の従姉なんだ」



「……従姉…?」



「ああ。ずっと昔からの片思いだったんだってさ。そんで…この前告白して、つきあい始めたらしい。昨日初めて聞いた」



「…う…そ………」



「日本の法律では従姉弟同士の婚姻とかは認められているけど、その従姉…悠羅(ゆうら)さんの家の親がまぁ、厳しい家だから、認めないって言ってるんだ…それで、悠羅さんのためだけに、兄貴は姓を変えて、戸籍上従姉弟という関係を解消したいらしい」



「……」


ずっと前からの片思い…って…。



それでその人のためになら姓まで変えちゃうぐらい好きなんて…。



………あたしの、初恋……終わっちゃったんだ……。



「……斉藤」



涙が、止まらない。



「斉藤!」



「…っなに…よぉッ…」



「アンタは、努力する自分が好きなんだろ?」



「……え?」



「努力してるアンタを肯定してもらえたのが嬉しかったんだろ?」



「…何で、…」



「前、言ってたじゃないか!あの喫茶店で、『肯定してくれてありがとう』って!アンタは今までの努力を肯定されたのが嬉しくて泣いた、違うか?!」



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