ハツコイ
大地の過去
「あ…大地先輩…」

翌日、学校への道のりをトボトボ歩いていると大地先輩に会った。


「紗由ちゃんおはよう。早いなあ!」

「大地先輩も。早いですね」


この前大地先輩に抱きしめられてから、なんか顔直視できないや…


「な〜んか避けてるでしょ」

「え…」


大地先輩が真剣な目をしてこっちを見てくるから、思わずパッとそらしてしまった


「大地〜」


女の人が走ってくる

「今日うち来ない?親いないんだぁ〜」


「部活だから」


あれ…?
先輩いつもなら
例え冗談でも行くって言うのに…

女の人は何故か私を睨んで走っていった


「先輩…どうかしたんですか?」

「ん?何が?」

笑顔で返事をしてくる先輩。


「いえ…何も…」


なんか今日の先輩
笑顔だけど…いつもと違う

疲れてるのかな?


それから普通通りに朝練をしたけど
大地先輩はやけに大人しかった
健人先輩も心配して何度か声をかけてた。


放課後の部活も大地先輩は相変わらず。
部活終わった後にいつもなら一緒に帰ろうって引っ張ってくるのに
今日はいつまでも部室にこもってた


私は帰る約束もしてないし、先に帰る事にした

久々にこの暗い道を一人で帰る
自然と早足になる


いつもは大地先輩がいてくれるから安心してたけど、この道は何度通っても慣れない


すると後ろから…


「お姉さん〜遊ぼうよ〜」


「え…?」


明らかに酔っ払っている中年のおじさんが、そばにきて顔を近づけてくる

近いよ…何!?

「チューしよ♪」


私の手を掴んでくるおじさんは、やっぱり男なんだって思うほどに強くて、女の私には振り払えない

小さく抵抗するが、おじさんの唇は近づいてくる

ぎゅっと目を瞑る

あ〜私のファーストキスが…
半泣き状態になる
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