なんでも屋 神…第二幕
コンコン!



お、マスターが来たな。[トレイン]のコーヒーを飲まないと、依頼を受けたと言う実感が今一湧かない。



「久しぶりだね、神。」



マスターが来たものだと思い込んでいた俺は、既にドアから視線を外し、両肘をデスクに付けている一葉の顔に視線を戻していた。



嗄れたマスターの声より数段高い声だが、女性としてみれば幾分低く思えるその声。



俺の記憶の中から、一枚の写真のように在る人物の顔が浮かんでくる。



ドアに背を向け、俺の顔を見つめている一葉の肩越しから、思い描いた顔の持ち主が少しずつ露わになり始めた。
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