なんでも屋 神…第二幕
「ノリ、何とか間に合った。例の場所でマコを拾って事務所に戻っててくれ。」



トランシーバーからは未だ焦っているノリの声が聞こえたが、道路を挟んでマコの姿を確認出来て一気に肩の力が抜けた。



軽くマコと目配せを交わし、俺は何事も無かったように[渡辺商事]の中へ戻って行く。



一先ず、マコを巻き込む事態に陥らずに済んだ…。



因みに、俺がノリに指示した例の場所とは、予め決めていた、芸能プロダクションから見えなくなった位置の事。



俺も早い所、窓拭きを終わらせて事務所に向かわなければ…などと思いながらオフィスに足を踏み入れれば、案の定冷たい視線が身体に突き刺さる。



…こうなる事は有る程度覚悟していたが、やはり居心地の良いものでは無く、冷ややかな空気が漂う中で、俺は一心不乱に窓拭きを終わらせた。
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