なんでも屋 神…第二幕
突っ伏すようにして飛びかかってきた男は、俺の身体に切っ先が届く前に失速し、そのままガレージの床に倒れ込んだ…。



状況の把握出来ない俺の前に、無音の空間の終了を告げるが如く、その男の背中にヘルメットがバウンドした。



表皮を剥ぐようにしていた左側の男も、事態を把握する為にその動きを止め、デリカの後ろに佇む男に視線を注ぐ。



アメリカンのスティードに跨り、顔をにやつかせている男。



俺の身体を包んでいた焦燥感は、一気に天へと駆け上っていった…。



「何をしてるかと思えば、珍しく手こずってるみたいだな神。」



荒々しいエンジン音はガレージ内に木霊し、頼りがいの有る男の登場に、筋肉に張り付いていた無駄な緊張も解けた。
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