なんでも屋 神…第二幕
「MDMAに他のドラッグを混ぜ、依存性の高さを増し、資金力を潤沢なものにしていったが、若い奴等中心のストリートで捌くには限界が有る。其処で考えたのが、若い奴等が集まるクラブを隠れ蓑とした販売方法。」




其処まで一気に話すと、金城は途端に落ち着きを無くし、カリカリとリスのように爪をかじり始めた。



「クラブドラッグに火が付き始めた頃、その男に千載一遇のチャンスが訪れた。莫大な利益を生み出した事で浮かれていた男は、まんまと餌に食いついた…それが罠だとも知らずに。」



俯いて爪をかじっていた金城が、血の気の引いた顔を上げて何かを喋ろうとしたが、声に成らずパクパクと鯉のように口を動かしただけだった。



「[神堂組]の代目継承は真っ赤な嘘…本当はそれを期に反旗を翻す奴が現れるかを探る為だったが、まんまと食いついた馬鹿な魚が居た。そしてチャンスだと思い込んだ馬鹿な魚は、焦って鉄砲玉を飛ばしたとさ…。」



漸く神堂と兄ぃの手の平の上で遊ばれていたと悟った金城は、怒張した血管を蟀谷(こめかみ)に浮かび上がらせた。
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