なんでも屋 神…第二幕
俺は何も答えずに、ゆっくりと首を横に振る。それを見透かしていたかのように、奏はスーツの内ポケットから、小分けに仕切られた半透明なピルケースを出し、ガラステーブルを滑らせた。



中にはハート型や星形、丸、三角、四角、菱形等の錠剤。色も取り取りで青や赤、黄色、橙、緑、紫、黒…唯一無いのは白くらいのもの。



「俺達の頃は、アダム、エクスタシー、×(バツ、エックス)なんて言ってたな。ネット上では痩せ薬と称して売り買いされてる。」



それなら答えは俺にも分かる…答えは錠剤型合成麻薬MDMA。



末端価格は時と場合によるが、大体四〜五千円ぐらい。



手軽さと気軽さを併せ持つMDMAだが、その所持及び使用は、麻薬及び向精神薬取締法により、七年以下の懲役に科せられる。



主に北米、オランダ、ロシア、フランスから輸入されてきて、大本締、下部組織、中間元締、元締、売人、客を通して売買されるのが基本流通だ。
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