Better half
━━有希(ユウ)16の秋─

『きゃー有希ぃ見てよ!あの人だかりっ!』
真依が目を輝かせた。


 真依は、一見クールそうに見えるけど、意外とミーハーなところがある。

特に…憧れの人に会いに行く事へのパワーは凄い…と思う。


 前にも何回か誘われた、アマチュアバンドのライヴ。

中学生の時から憧れてた先輩が居て、その先輩がバンドをやってるらしくて…

けれど…私は人混みは苦手だからと断っていた。


 いい加減何回も断る私に、うんざりすると思いきや、

それでも“わかった”と、私を責めない真依。

そんなサラッとしたところが好きだなぁと感じた。

そんな真依が、一昨日──

『先輩の高校で、学園祭があるんだけど、体育館でミニライヴがあるの!

先輩も参加してるらしくてさぁ

ねぇ、お願いっ!今回だけでいいから、つき合って!』

初めて両手を合わせた。

と思ったら一変、クールな笑みを浮かべる。

『…って無理だよね…有希は人混み嫌いだしね、言ってみただけだから平気よ!

中学のトモダチと行くからさ

じゃ、アタシ帰るね、また明日ぁ〜』

軽く左手を“バイバイ”
ヒラリとさせ、スクールバッグを右肩に掛け、抱えた。

真依は、私に断られるのをわかってても、声を掛けてくれる。

けど、決して、無理強いはしない。

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