Better half
 私はブレザーのポケットからハンカチを引っ張り出し、鼻と口を覆った。

そんな私に気づかないくらい、バンドマンに夢中な真依は、憧れの先輩の姿を見ようと、

『有希ぃ!行こうっ』

と、いつもはクールに見える瞳を輝かせる。


『ごめん、先に行って』

私の声が聞こえたのか聞こえなかったのか?

真依は返事をすることなく、人だかりをグイグイ掻き分けて進む。

そして

やがて、彼女の姿は、私から見えなくなった…。

< 54 / 82 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop