甘々果汁BABY
あたふたと頭の中の
暗い洞窟を彷徨っているあたしをよそに、
弘斗は
「そう。長い間の付き合いなわけ、俺ら。」
そう言い終えると
昔から大好きなグレープジュースを
ぐびぐびと飲み終えてしまった。
「さて、俺は先に教室戻るか」
弘斗の奴……。
野上くんに誤解させるような言い方、
わざわざしなくてもいいじゃんっ。
大体、あたしが好きなこと
少しは勘付いてるはずじゃない?
ならどうして...。
「あたしたちも戻ろ」
乾いた喉から出た声は、
なぜか少し冷たいものだった。