赤い愉楽
「あいつも罪な奴だ」


そう言って奥田は下を向く。


「こんなに美人で頭もよく
しかも優しい奥さんを


残して先に行くなんて」


じっと怜奈の眼を見つめる奥田。


キャンドルの炎が
2人の間で揺れている。


「四月一日のことは


警察でも散々聞かれました」


奥田の言葉を
すがるような眼で聞く怜奈。
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