貴方が好きなの
私と冬夜の家の前まで来た。
「バイバイ、藍。また明日」
冬夜はそう言うと、私の手をゆっくりと名残惜しそうに離した。
「うん。…また明日」
冬夜が帰ろうとしている後ろ姿に声を返した。
家の鍵を開けて、部屋に入る。
手にはまだ握られているような感覚がする。
なんだか寂しい……。
もう、分からない。
冬夜を好きになっているのかもしれない。
曖昧な気持ち。
でも、確実に言えるのは、私はまだ中川が好きということ。
それと、冬夜は気になる存在ということ。