遠い君



「お前、また迷子になったらどうするんだよ」

「大丈夫だよ」

「絶対なる
だから離さない」

そう言って
イタズラっぽく、優しくフッと笑った

そして、離すどころか
より強く握り直した

あたしはそんなたっくんにドキドキしてしまった

あたしは、もう、離そうとはしなかった

つないでいると、なんだか安心できるから



その手はあたしと違って大きくて
少し冷たかった



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