記憶 ―惑星の黙示録―
「リュウお兄ちゃん、助けて!アランお兄ちゃんが消えちゃって!アランお兄ちゃん、知らない!?」
ハルカちゃんはあせあせと言葉を続けたが、内容は支離滅裂でちゃんと伝わったのか不安になった。
しかし、
アラン同様に心が読めるんだとしたら、大丈夫なんだと思う。
その為か、リュウという人は立ち上がりながら大声で笑っていた。
「…あぁ。はははっ!大丈夫、大丈夫!『紫の虫』なら、さっきから五月蝿く俺の周りを飛んでるよ…」
ワンッ
『…虫さんッ!?』
虫、と聞いてコンちゃんが大きく興奮したが、…なんでなの。
リュウさんがこちらに近付いて来る周りで、その言葉通りアランが飛び回っていた。
「…やっぱり、その光が、アランお兄ちゃんなの…?」
『――はぁ!?俺、意味分かんない!』
二人はそう眉間にしわを寄せて、リュウさんを見ていた。
それが確信に変わった私は、
「…誘拐犯、て…」
誰の事なの…。
そう思考を張り巡らせていた。
「はははっ!分かんねぇ事だらけだろうな?皆。」
言葉遣いは悪い。
しかし敵意は感じられないこの人を、私たちは頼りにせざるを得ない様だ。