記憶 ―惑星の黙示録―
私は…
ただ紫色の光を見つめていた。
ぼーっと、
橙色の上で光る、
…紫色を見ていた。
『…た、たた…魂!?ナオ、魂なの!?』
「…嘘。だって!ナオちゃん、さっきまで体在ったもん!」
詰め寄る二人に、
リュウさんは頷いて言葉を続けた。
「アランが、自分同様に奈央ちゃんの体を造っていた。この世界に奈央ちゃんが迷い込み、気が付いた瞬間からな…」
だから、
アランは魔術を幾重にも重なって使用し、
…消耗した。
だから。
アランの力が消えて、二人が苦しむ間も…
体は軽く、
苦しくはなかった。
むしろ、
丘を越えている最中、
体が在った時の方が苦しかった…
そういう事なんだ。
「体が在って当たり前の世界で皆は生きているからな。アランは奈央ちゃんを混乱させない為にそうしたんだろう。」
「じゃあ、ナオちゃんの本当の体は!?」
状況が状況だけに言葉が見つからない私の代わりに、ハルカちゃんがそう聞いてくれていた。
「奈央ちゃんの体は、未だ元居た世界に在るのさ。意識だけ、この世界に来ているってところか。」
意識だけ?
だから夢の様に感じていたの?
…魂?