記憶 ―惑星の黙示録―


「…ハルカちゃんたちの世界と、私の世界は時の流れは違うの?」

当たり前だと思っていた、
時間の単位。

1秒、1分、1時間…
同じではないのかもしれない。

そう思って…聞かなければ良いのに、私は聞いた。
聞いたところで、
頭が混乱するだけなのに…。


「…あぁ。各世界で時の進み方は違うから…。奈央ちゃんの世界での『一日』は、ハルカちゃんたちの世界での何十年だったりする…」

「…はぁ…」
「なんか、難しい…」

あぁ…、
やっぱり聞くんじゃなかった。
頭では分かりかけても、実感がわかない。

きっと全員同じ気持ちで、
溜め息が溢れる。


『…もぉ、俺…何にも聞かない。ナオ、お前もこの後何にも質問すんなッ…』

「ご、ごめんね…」

承諾は出来ないから、せめて…と、謝った。
質問しないと居られない質なのよ…。



「ははは…!さて、ハルカちゃんとコンちゃんは『帰る』時間だ!奈央ちゃんにお別れしてくれよ。」

「……え!?」
『何言ってんのッ!?』

パチンと時計を閉じながら、リュウさんは唐突にそう笑う。

本当に…
いきなり何を言うの?


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