記憶 ―惑星の黙示録―
その表情に自分の涙をグッと堪えながら、
「…行きなさいよ。ハルカちゃんに置いて行かれても、私は犬の面倒なんて見やしないわよ?」
そんな酷い言葉を吐きながら意地悪く笑った。
『…むぅ!犬竜だもんッ!ナオのバカぁ~!ハルカー…ナオが苛めたぁぁ!』
パタパタと翼を羽ばたかせて、ハルカちゃんの元へ飛んでいくコンちゃんを…私はその場で見送った。
ちりん、ちりん…
と、遠ざかる鈴の音。
あはは…
ハルカちゃんはそう笑みを溢しながらコンちゃんの体を受け止める。
「じゃあ、ちょっと行ってくるからよ!奈央ちゃん、アランと待っててくれな?」
リュウさんは扉を開き、
向こうに見えるのは…
霧の様な白い世界。
そこを通って自分の世界へ帰るのね…
待っている人たちの元へ…
「…またね、ナオちゃん!アランお兄ちゃん!」
『馬鹿アラン!俺のナオ苛めんなよッ!うぅ…ナオぉ~…』
笑顔のハルカちゃん。
その腕に泣き虫のコンちゃん。
いつか…
きっと、また…
「旅」の途中のどこかで…
そう手を振って、
精一杯の笑顔を向けた。